ただ軍の軍旗であるこの旗は、別名「孫子」の旗ともいわれ、もともと鮮麗な紺色の絹布に金泥で書いたもので、字句は兵法の聖典「孫子」の一節で、武田氏の菩提寺恵林寺 ( えりんじ ) の禅僧快川紹喜 ( かいせんじょうき ) の筆になるものである。
「疾 ( はや ) きこと風の如く、徐 ( しず ) かなること林の如く、侵掠 ( しんりゃく ) すること火の如く、動かざること山の如し」
これは合戦にのぞみ、軍隊とはかくあるべきことを教えたもので、孫子の研究者として戦国時代の最高峰といわれた信玄の軍隊運用術でもあった。
武田軍の軍旗としては、このほかに「南無諏訪南宮法性上下大明神」の旗があり、「風林火山」の旗と共に武田軍の象徴である。
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